症例Report
『甲状腺腫瘍』
:2022. 7. 8
:
症例
甲状腺腫瘍 <ボーダーコリー 10歳 未去勢雄>
稟告
左側頸部に鶏卵大の腫瘤があることに気づき来院されました。一般状態は良好でした。
細胞診及びCT検査
細胞診を実施したところ、甲状腺腫瘍を疑う所見が得られました。CT上で明らかな転移所見は認められませんでした。
[CTにおける甲状腺腫瘍]
甲状腺腫瘍
犬の甲状腺腫瘍は悪性が多く、およそ半数以上で転移を起こします。両側同時に発生することもあり、浸潤性が強く、反回喉頭神経や迷走交感神経を巻き込んでいるケースでは手術不適応になることがあります。
外科手術
本症例は片側性で浸潤も強くなかったため手術を実施しました。
[摘出前の腫瘍の外観]
[腫瘍摘出後]
病理結果
病理検査では、甲状腺癌と診断されました。
術後の経過
甲状腺摘出後、血清カルシウム濃度の低下や甲状腺ホルモン機能低下症が認められることがありますが、本症例では片側の摘出であったため、いずれも大きな異常を示しませんでした。今後は転移確認のため定期的な検査を実施する必要があると飼い主様にお伝えしました。