症例Report
『猫の消化器型リンパ腫』
:2022. 9. 3
:桐谷
症例
スコティッシュフォールド 13歳齢 避妊雌
3ヶ月前から食欲低下が認められ、他院を受診したところ、超音波検査にて腸間膜リンパ節の腫大が確認された。
その際、腫大リンパ節の細胞診を行い、リンパ節過形成と診断されていた。
精査のため、当院を受診した。
身体検査およびその他の検査
削痩が認められた。
血液検査では、白血球の軽度上昇が認められた。
腹部超音波検査では、多数の腸間膜リンパ節の腫大が認められたため、針生検を行い、細胞診検査に提出した。
胸部レントゲン検査では、異常は認められなかった。
後日、内視鏡検査を行った。
内視鏡検査および細胞診
十二指腸粘膜の一部に発赤が認められた。
胃および十二指腸粘膜を生検し、病理検査に提出した。
検査結果
腸間膜リンパ節はリンパ節過形成疑い、
胃および十二指腸粘膜は高分化型リンパ腫と診断された。
治療および経過
リンパ腫に対して、抗がん剤治療を開始した。
食欲は上昇し、血液検査でも異常は認められなかったため、治療を継続していくこととなった。
まとめ
猫の消化器型リンパ腫は、猫のリンパ腫の多くを占める。
高齢に多いため、慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症など、他の疾患を併発していることもある。
元気食欲低下、体重減少、嘔吐および下痢などの非特異的な症状を示すことが多い。
診断には、腫瘤の摘出、超音波ガイド下での腫瘤および腫大リンパ節の針生検、または内視鏡下での消化管粘膜の生検などが必要である。
治療は、化学療法を行うことが多い。