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症例Report

『小腸のリンパ腫』

:2016. 5. 10
:西川

症例

 

小腸のリンパ腫 チワワ 12歳 オス

稟告

 

特に症状なし

検査

 

毎年実施しているワンドック(総合的な健康診断)で発見された。
(超音波検査)
部分的に腸管壁の肥厚が認められ、腸管の5層構造が消失していた。超音波ガイド下においてFNA(針生検)を行ったが、有意な細胞が採れなかった。

エコー

エコー2

CT検査

 

消化管にできた腫瘤が盲腸の手前の回腸の遠位であることが明確になった。また、腸間膜リンパ節の軽度腫大を認めた。再度FNAを試みたがやはり有意な細胞は採れなかった。

 

 

 

 

 

 

MPR 像パール2

MPR 像パール

 

手術所見

 
本症例は術前に組織学的診断が下せなかったが、超音波検査およびCT検査において明らかな回腸の塊状病変が認められた為、腫瘍を疑い手術を実施した。異常な病変部を摘出し、腸管どうしを端端吻合にてつなぎ合わせた。術後合併症もなく、10日後に皮膚縫合部を抜糸した。

 

消化管術中

消化管吻合後

病理診断

 

低分化型の悪性リンパ腫と診断された。なお、腸間膜リンパ節に腫瘍浸潤はなかった。

 

経過

 

抜糸後に抗ガン剤治療を開始した。消化器型の悪性リンパ腫は決して楽観出来るものではない。また悪性リンパ腫は症状があるか、ないかで予後に差があり、当然ないほうが生存期間が長い。本症例は症状が全く無かった為、予後に大きな期待を持っている。今後もしばらく抗ガン剤治療を続けていく予定である。
今回はワンドックで異常が見つかり、短期間で手術、抗ガン剤治療まで進めることが出来た。症状が無かった為、ワンドックを実施していなければ症状として現れるまで、病気を発見することは出来なかったと思う。改めて健康検査の重要性を認識させられる症例であった。

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