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症例Report

『猫の膵臓癌』

:2017. 9. 9
:minami

症例

 

膵臓癌 雑種猫 10歳齢去勢♂

稟告

 

尿路結石の健診中に上腹部に腫瘤を認めた

身体検査・血液検査

 

一般身体検査では大きな異常は認められなかった。血液検査でも膵酵素やSAA(炎症蛋白)など特に異常値は認められず。

超音波検査

 

超音波検査で左腎臓の頭側に低echo源性の直径1.5cm大の腫瘤を認めた。

 

腫瘤に対して針吸引検査を行ったところ、腫瘤内腔より壊死組織が採取された。

CT検査

 

CT検査を実施したところ、膵臓の左葉先端部にできた腫瘤と確認できた。症状は特に認められないものの、壊死を引き起こすような腫瘤を形成していることから膵臓にできた悪性腫瘍である可能性を飼い主様にお伝えしたところ、摘出をご希望であったため、後日手術を実施した。

手術

 

開腹下にて膵左葉領域の脂肪内に包まれた腫瘤を確認し、膵管・膵実質ごと一括切除を実施した。

経過

 

術後すぐに十分な食欲も認められ、膵炎などの所見も認められなかった。病理組織検査において悪性腫瘍の膵臓癌と確認された。猫の膵臓癌は非常に稀であり報告数が多くはないものの、転移率が高く早期の死亡率が高い(中央生存期間97日)といわれる悪性度の高い腫瘍である。本症例では手術時に明らかな転移や腹水貯留は認められず、術後の化学療法を実施し、術後3ヶ月を経過して特に再発や転移所見は認められていない。臨床症状の無い早期に発見出来たことで良い予後につながるのではないかと期待を寄せている。今後も定期的な血液検査、超音波検査を実施して経過観察をしていく予定である。

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